頭の中の箱庭


昔、『ルートダブル』という閉鎖空間脱出アドベンチャーゲームのシナリオを書いていた頃。

自分の頭の中には、舞台となる建物『ラボ』がありました。

登場人物9人+αが、そのラボの中でどう行動していたのかが、1分単位で全て記憶されていました。

イメージ的には、頭の中にラボを模した『箱庭』みたいなものがあって、その中にキャラクターたちが配置されているという感じ。

時間を進めれば、キャラたちがそれに従って動くし、巻き戻しも一時停止も自由に出来るみたいな。

毎日一つの作品に取り組んでいく内に生まれた、ちょっとした便利ワザでした。

複雑な話だったので、この『頭の中の箱庭』は、シナリオ執筆作業に重宝しました。

ライター仲間から『9月16日12時45分に〇〇はどこで何をしていたっけ?』と聞かれても、すぐに答えられたりとか。

この箱庭は、執筆が終わってもずっと頭の中に残っていたのですが―― 先日ふと気づくと、いつの間にか頭から、消えている事に気づきました。

執筆から7年近くも経ち、さすがに記憶が薄れてきたのでしょう。 ちょっと寂しくもありましたが、心地よい開放感のようなものも感じました。

どんな思い入れのある作品でも、こうしてやがては薄れていく。 それでこそ書き手も、次に進めるのだなと。


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